ほんの数年前のこの日。
ジハードを理由に世界貿易センターへ二機の旅客機が突っ込んだ。
暴炎を上げる双子の巨塔が崩壊する様は全世界にライヴで報道され、
その瞬間から世界の、
いや、
アメリカの対テロ戦争が始まった。
最近、
911以降の未来を描いた小説『虐殺器官』を読んだ。
作中ではサラエボに核が落とされ、
その時ヒロシマ・ナガサキ神話は終結したとある。
冷戦時代は東西が睨み合った。
だが核は落とされることはなかった。
そこにMGS3のような、
水面下の駆け引きがあったかどうかは不明だが、
二つの強国は核を落とすことが出来なかったのだ。
そこに神話はあったと作中で作者は推測する。
核を落としあえば世界が核の雲に覆われ、
地球は急速に冷やされ、
世界が終焉を迎えるという神話。
それは『宇宙戦艦ヤマト』のような未来だろうか。
彗星爆弾は核弾頭と同義だ。
そんな神話が消失した未来。
『核は落としていいんだ』
という認識の誕生。
そんな未来が来ないことを願う。
もし僕がセレソンとして選ばれ、
ノブレス携帯を贈られたのなら、
全ての金額を使って核や核に関する全ての施設を消す。
金額はとても百億じゃ足らないだろうが。
そして言うのだ。
『ジュイス、世界は平和になったかい?』
と。
彼女の答えは分かってる気がする。
核が消えてもまたすぐに大量破壊兵器は発明されますよ、と。
若くして亡くなった『虐殺器官』の作者。
世の中に長編をたった二つだけ産み落とし、
逝ってしまった。
彼には見えていたのだろうか。
愚かな人間の未来が。
PR